『2027年問題』を目前に、集合住宅のLED化はなぜ進まない?
約4.7万棟の調査から見えた「認知・更新・供給」のギャップ
タウンクロス株式会社(本社:福岡県福岡市、代表:辻亮太、以下当社)は、集合住宅を対象としたLED照明更新工事を手掛ける施工会社として、現場で感じるLED化の現状を取りまとめました。
2027年末には一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入の終了が決定しており、LED照明への切り替えが求められています。当社では2025年度にLED化に関する現地調査や工事依頼が増加し、集合住宅約4.7万棟を、LED化に向け現地調査を実施しました。しかし、実際にLED化工事まで進んだのは約2,500棟で、現地調査を実施した約4.7万棟のうち、工事に至った割合は約5.2%でした。集合住宅の照明調査と工事をおこない見えてきた、現在のLED化を取り巻く状況をお伝えします。

① 約4.7万棟を調査、工事に至ったのはわずか5.2%
2025年度、当社は集合住宅約4.7万棟を対象に、LED化に向けた現地調査を実施しました。現地調査では、設置されている照明器具の種類・数量や設置場所、既存設備の状況などを確認し、必要な工事内容を整理します。
しかし、実際にLED化工事まで進んだのは約2,500棟。調査した物件のうち工事に至った割合は、わずか約5.2%(およそ20棟に1棟)でした。地域別に見ると、工事化率には差があります。
また、工事に至らなかった理由は一様ではなく、予算・費用面での判断、管理組合での合意形成の難しさ、大規模修繕との兼ね合い、更新時期の見極めなど、集合住宅特有の事情が複数重なっています。

② 『2027年問題』の認知度42.4%でも、更新にはつながらない
蛍光ランプ製造終了への社会的な認知は、徐々に広がっています。一般社団法人日本照明工業会の調査によると、製造終了の認知度は2024年2月の13.6%から、2026年2月には42.4%へ上昇しました。一方で、「照明器具にも耐用年限(寿命)があること」の認知度は31.5%にとどまっています。
当社の調査・工事件数とは調査方法が異なるため単純比較はできませんが、「知っている」「検討する」「更新する」の間にはそれぞれ段階があり、情報が広がったからといってそのまま設備更新にはつながらないことが、当社の現場からも見えています。蛍光灯ランプの製造が終わることを知っていても、「今の照明器具はどうなるのか」「ランプだけ交換すればよいのか」「器具ごと更新が必要なのか」といった、更新に直結する情報までは十分に認知されていないのが実情です。
③ 現場で始まっているもう一つの危機、LED の供給ひっ迫
LED 化の需要が高まる中、現場ではすでに次のような問題が起きています。
• 一部の照明器具で、メーカーの生産が需要に追いつかず、納期が長期化
• 集合住宅は1 棟あたりに必要な照明器具の数量が多く、共用廊下・階段・エントランス・駐車場など複数箇所を
まとめて更新するケースもあるため、製品を確保できるかどうかが工事時期そのものを左右する
• 非常灯は欠品が顕著で、災害時に明かりがつかないというリスクも懸念される
さらに、電気工事士の高齢化・人手不足も重なり、「発注はできても、施工で
きる体制が追いつかない」という声も現場から聞かれています。2027 年末が近
づき更新需要がさらに集中すれば、製品供給・施工体制の両面で負荷がかか
る可能性があります。
④ 当社の現場でも起きている、需要と供給のギャップ
集合住宅のLED 化をめぐっては、「更新が進んでいない物件がある」という問題と、「更新需要の高まりで製品供給がひ
っ迫する」という問題が、同時に存在しています。
当社にも、LED 化を検討する物件からの相談・依頼は増加していますが、一部の製品では調達が難航しており、案件に
よっては受注のタイミングを慎重に見極めざるを得ないケースも出てきています。
当社は、この状況を一社の課題ではなく、業界全体が直面している構造的な問題として受け止めています。2027 年末に
向けて需要がさらに集中すれば、業界全体にさらなる負荷がかかることが見込まれます。だからこそ、早い段階で状況を把
握し、計画的に検討を進めることが、選択肢を残すうえで重要になると考えています。
当社は、集合住宅の照明更新を数多く手掛けてきた現場の事業者として、こうして見えてきた実態や知見を、今後も発
信してまいります。



